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2022.08.27
柴犬が衝撃の姿に…犬のアトピーの治療をお見せします Vol.46
皮膚病により毛が抜けてしまった犬の診察を行いました。
皮膚炎かなと思ったら早めに病院で受診しないと大変なことに……。
獣医師・村井:毛がだいぶ抜けていますね。パッと見た人は柴犬さんって思わないんじゃないですかね。皮膚は象の皮膚のように硬くなっています。長い時間かけてアレルギーによるダメージを受けている皮膚は、硬くなったり、色素がついて黒くなってしまいます。
村井:痒みも出てしまうので、ところどころ赤いですね。この子の場合は、皮膚の症状の出ている部分がお顔周り、首下、足、お腹の部分。
村井:症状だけで判断するのはあまり良くないですが、アトピー生皮膚炎と言われる皮膚病の可能性がとても高いですね。
スタッフ:アトピーって聞くと、人でもありますね。
村井:ありますね。幼い頃から発症しやすいですね。ワンちゃんも同様で、3歳未満で発症することがすごく多いです。体質的なところがすごく大きいですね。
村井:アレルギーによる皮膚の症状は経験すればするほど、症状が強く出てしまいます。それをうまくシャンプーや塗り薬、場合によっては飲み薬やお注射で管理する必要がありますね。
村井:この子の場合は定期的に病院に来て、塗り薬を全身に塗ってあげて、シャンプーをして、その後保湿剤を塗る処置をしています。ここまで酷い症状の子なので、もちろん他にも痒み止めの飲み薬も服用させています。
村井:これはお薬を塗っているところです。象みたいに硬くなってしまった皮膚も、それが原因で痒くなります。皮膚を柔らかくしてくれる成分も入っています。
スタッフ:この状態になるまでっていうのは、だいぶ月日は経っていますか?
村井:だいぶ月日は経っていますね。この象みたいな皮膚の状態になるので、最低でも1ヶ月以上かかります。この子は全身がなっていて範囲も広いので、1ヶ月どころではないですね。
村井:このような状態は、アトピー性皮膚炎が大きく関わっている可能性は非常に高いですが、他にも病気を持っている可能性があります。例えば、ホルモン病ですね。クッシング症候群と呼ばれるものであったりとか、甲状腺機能低下症というホルモン病を持っていたりとか。別の感染症の可能性もあります。寄生虫やばい菌、カビに感染しているとかですね。
村井:カビと言っても、別の記事でお話ししたような皮膚糸状菌症ではなくて、マラセチアという油をたくさん食べるカビの種類がいます。マラセチアがたくさん増えていることが原因のこともあります。
村井:あとは全身性疾患ですね。肝臓が悪かったりしてタンパク質の合成がうまくいかない子も、それが原因で二次的に引き起こしてしまうこともあります。
村井:高齢のワンちゃんの皮膚病は、基本的には原因が1つではありません。さまざまな原因が重なっていることが多いので、それを全てブロックする必要があります。
村井:飼い主様と獣医とワンちゃんの3人が、協力して治療を進めていく必要があります。
村井:アレルギー性皮膚炎のワンちゃんは体がベタベタする症状が多いです。脱脂力が強いシャンプーをすることが多いです。
スタッフ:お家でもした方がいいですか?
村井:お家でもしてもらった方がいいですね。ベタつきがずっと出たままだと、その油を餌にして増える感染症もあります。ベタついたらシャンプーしてもらいたいですね。
村井:油は取り過ぎれば取りすぎるほど、体の反応として、もっと油を出さないといけないという反応が出てしまいます。取りっぱなしは良くありません。それを防ぐのが保湿剤です。保湿をしてあげると、非常に良いです。
スタッフ:人と一緒ですね。
村井:人と一緒です!人よりもワンちゃんの方が毛が多いので、皮膚が薄いです。
スタッフ:そうなんですか!
村井:こういう風に脱毛しているワンちゃんは、人よりも丁寧に扱う必要があります。
今回の総括
村井:皮膚病の柴犬さんを紹介させていただきました。アレルギー性の症状を持たれているワンちゃんは、そのままよくなることは基本的にありません。心当たりがある方は、近隣の動物病院さんを受診して管理に努めてもらえたらと思います。よろしくお願いします。
スタッフ:ありがとうございました!
村井:ありがとうございます!