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2023.03.08

【衝撃】フェレットのお腹が巨大化…内臓摘出について解説します!Vol.62

病気になることはどの動物にもあります。
前兆を読み取ることは非常に重要です。
それに加え、病気になった時の為に事前の病院探しを行いましょう!


獣医師・水野:こんにちは。WOLVES Hand獣医師の水野です。
本日はフェレットの脾臓を取る手術を紹介します。


水野:腫瘍によって脾臓がものすごく大きくなっていて、
手術の前にぐったりしている状態です。

スタッフ:脾臓にはどんな役割がありますか?

水野:脾臓は血液を作る造血の機能や、ばい菌から身を守る免疫の機能があります。


スタッフ:脾臓自体が大きくなって腫瘍になっているということなんですが、こんなにしんどそうになるものなんですか?

水野:今回はかなり脾臓が大きくなってしまっていました。
これはもう麻酔がかかっている状態で、仰向けにしていますが、
この盛り上がっているところが全部脾臓です。

表面にこれだけ盛り上がっている状態で、お腹の中で脾臓の占めている割合が大きくなっています。
実際にこの子は胃や腸が圧迫されている状態で、ご飯も食べられない、流動食しか食べられない状態になっていました。

どんどん体重も減っているという状態でしたので、
本人的にはかなり辛い・苦しい状態になっていました。


スタッフ:どうしてここまで大きくなってしまったのでしょうか?

水野:病気が進行しているのもありますが、この子は血液系の癌で脾臓が大きくなっていました。

この子は病院を2〜3院回って手術ができないと断られて、もう諦めていたけれど、諦めきれずに来院しました。
病気が進行しているというのもありまして、脾臓が大きくなっています。


スタッフ:結構、急激に大きくなるものなんですか?

水野:腫瘍は結構急激に大きくなると言われていますね。
この子の場合は前から大きい状態ではあったのですが、いよいよ明日にでも死んでしまうのではないかってくらいまで大きくなってからの来院でした。

スタッフ:この盛り上がっている脾臓を丸々摘出するんですよね?

水野:そうですね。この脾臓を全部摘出することになります。

スタッフ:脾臓というのは取ってしまっても問題ないのでしょうか?

水野:脾臓は造血と免疫に関わっているのですが、造血は骨髄で行われていますし、免疫も骨髄やリンパ節で行われています。
実際には他のところで代用が効くので、全部取ってしまっても大丈夫です。

この子の場合はおそらく、脾臓が全部腫瘍になってしまっているので、もうすでに免疫や造血の機能がない状態になります。
この子の場合は脾臓を取った方が良かったです。


スタッフ:ここまで大きくなってしまった場合、手術で取り除くのが一番良いのでしょうか?

水野:今回は血液系の癌なので、抗がん剤が効く症例にはなるとは思いますが、もうかなり脾臓が大きくなってしまっているので摘出するしかない状況です。

あとは専門的な話になりますが、あまり大きくなっている状態のところに抗がん剤を入れると、一気に癌細胞が死んで壊れた細胞の内容物が全身に回って、その毒素で死んでしまうこともあります。
実際に腫瘍細胞を減らすという意味で、脾臓を摘出するのは有効だと思います。


スタッフ:飼い主さんが大きくなった脾臓に気がついて来院されるケースが多いんでしょうか?

水野:スタートは脾臓が大きくなって、というケースもあります。
あとは、ちょっと元気がない、食欲がないというのが一番最初に気づかれるきっかけになると思います。

この子の場合は表面にもかなり出ているので、これで気づかれたと思います。

腫瘍の場合は、体は痩せているけれど腫瘍自体が大きくなっていて、体重が変わっていないというケースもあります。
本人の元気・食欲がすごく大事だと思います。

スタッフ:食欲がないと思ってから何日くらい経つと、ここまで大きくなりますか?

水野:この子の場合は恐らく、実際に食欲がなくなってから1〜2ヶ月は経っていると思います。


タッフ:脾臓が大きくなる病気というのは、フェレットさん特有の病気なんでしょうか?

水野:脾臓はほとんどの動物にはありますので、脾臓が大きくなるという病気はたとえば犬・猫などでもありますね。


水野:ただ、脾臓が大きくなって食欲がなくなるという問題は、確かにフェレットの頻度が高いと思います。
体が細長い、特殊な容姿をしているとか、脾臓関係の病気はフェレットに多いと思います。

他の動物種にも多いですが、フェレットは確かに頻度が多いと思います。

スタッフ:先生、今日はありがとうございました。

水野:ありがとうございました。