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2022.08.19

【膀胱が破裂寸前】猫がおしっこをしない…実は超苦しんでました。Vol.44

膀胱が破裂寸前に。
猫がおしっこをしない…実は超苦しんでました
治療法をお伝えします!

獣医師・村井:猫ちゃんです。病院に来られたのは、「おしっこに何回も行くけれども全然おしっこが出ていない」ということで来られました。今は超音波検査をさせてもらっています。

村井:これが膀胱です。膀胱の中はおしっこが溜まっていて、超音波検査では水が含まれるところが黒く見えます。ただ、真ん中あたりに白くつぶつぶ出ているものが、わかりますか?

村井:この白くつぶつぶ出ているものが、膀胱の中に溜まっている砂です。本人が砂を飲み込んで溜まってしまったわけではありません。人でも膀胱結石や尿管結石って聞いたことがありますよね?

スタッフ:はい。

村井:あれは大きな塊になっているものなのですが、もっと小さなものがこの子の膀胱の中にできてしまったということです。多くの場合は、食事が原因ですが、体質的になりやすい子もいらっしゃいます。

村井:結石がある程度の大きさになっているものは、手術で取らないといけません。ただ、今回は見えているつぶつぶ1つずつが、肉眼でギリギリ確認できるかどうかくらいなので、手術で取り出すものではありません。

村井:この子は来た時点で膀胱がパンパンになっていて、おしっこが自力で出せない状態でした。

スタッフ:おしっこが出ないというのは、猫ちゃんたちにとっては非常に苦痛なんでしょうか?

村井:すごく苦しいですよ。人でもそうですけど。苦しすぎて吐いちゃう子もいます。食欲・元気がなくて来られる子もいますね。


村井:今回の子は男の子なんですが、膀胱からおちんちんの先の途中に膀胱結石が詰まっています。それをカテーテルで途中途中、生理食塩水で圧をかけながら介助してあげます。

スタッフ:これは管を先から入れているんですか?

村井:管を入れるところに局所麻酔のゼリーを入れているので、潤滑剤となって、本人も全然痛くないですね。

スタッフ:尿道に石が詰まってしまうことは、猫ちゃんたちにはよくあるんでしょうか?

村井:猫ちゃんにはすごく多いですね。お水をたくさん飲む動物ではないので、脱水傾向の子が膀胱結石とか砂がすごくできやすいですね。


村井:脱水になりやすいのは冬です。気温も低いので、みんなあまりお水を飲まなくなってしまいます。今回来ているのは夏で、暖かい時期でも来てしまいますけれど。

スタッフ:そうなんですね。

村井:管を通しておしっこが帰ってきたら、カテーテルの先端が膀胱の中に入っているということなので、生理食塩水を膀胱の中に入れて回収するという「膀胱洗浄」を行います。中の砂を回収していきます。

スタッフ:先ほど体質とおっしゃっていましたが、一回なってしまった猫ちゃんは、繰り返すことはありますか?

村井:残念ながら、なりやすいですね。そのためまずは、膀胱結石ができにくくするような食事に変更してもらう。おやつをたくさん食べている子や、膀胱炎に何回もなっている子はなりやすいので、食生活の見直しや飲み薬で対応して、膀胱結石が再びできないように管理していく必要がありますね。

村井:人だと痛かったらすぐに病院に行けますが、なかなか物言わない猫ちゃんなので、飼い主様の方でしっかり見ていただく必要があります。

村井:なかなか気づかずに数日経ってから、病院に来られる方もいらっしゃいます。おしっこを出せない状態で数日経つと、腎臓におしっこがいってしまいます。それが原因で腎臓が傷を負ってしまって、急性腎不全という形で……。

村井:(急性腎不全によって)最悪の場合は、命まで取ってしまうような状況になります。

スタッフ:「おしっこ出なくなったな」と思ったら、何日くらいで病院に行ったほうがいいですか?


村井:理想は24時間以内ですね。

スタッフ:1日待つといけないくらいなんですね。

村井:1日待ってはいけないですね。緊急性が高いですね。お昼に時間が取れなかったら、夜間救急に行っていただくのも一つの手ですね。

今回の総括

村井:猫ちゃんが何回もトイレに行くという症状は、多くの飼い主さんが膀胱炎を疑うと思います。膀胱炎であればそこまで緊急性は高くありません。しかし、尿道閉塞という原因で、尿道に何かが詰まっていておしっこが出ないのであれば、すごく緊急性が高いです。

村井:トイレがちゃんとできているかどうかというのは見てもらって、できていなければ緊急性が高い場合がありますので、なるべく早く病院の受診をお願いいたします。

スタッフ:ありがとうございました!

村井:はい!ありがとうございました!