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2022.09.16

【超危険】猫がぐったり…おしっこが出せないことで緊急手術をすることに Vol.51

猫が尿管結石になりぐったり……
おしっこが出なくなってしまいました。
緊急手術の様子をお伝えします!


獣医師・水野:猫ちゃんの尿管結石ですね。
腎臓と膀胱を繋いでいる管、尿管に石が詰まっていておしっこが膀胱に運べない状態ですね。
腎臓の状態が悪くなって、今ぐったりしている状態ですね。

外におしっこが出せないというのは非常にまずい状態で、緊急性のある状態です。
この子もすぐに手術になりました。

スタッフ:おしっこが出なくなるのは、1日ぐらいでぐったりしてあきらかに見てわかるものですか?

水野:どれぐらいで命に関わってくるかというのはそれぞれですけれど、完全に詰まっているとか尿管が破裂しているというケースもよくあります。


水野:トラブルが起きてから半日も持たずに心臓が止まるケースもあります。

状態が悪いな、ぐったりしているなとか、何かおかしいと思った時は、早めに病院で診てもらうのがいいと思います。


水野:この子の場合は、まず尿管の石を取りました。
これは尿管の石を取った後に縫っているところです。多分髪の毛より細いような糸で、尿管を縫います。


水野:尿管結石だけを取り出して尿管を塗って手術を終えるケースもあるし、最近多いのは「サブシステム」という手術ですね。
腎臓と膀胱を人工の尿管でバイパスする手術です。
下に写っているのが膀胱で、今は膀胱にバイパス感を繋いでいるところですね。


水野:これが手術前のレントゲンですね。
この辺に腎臓があって、よく見ると白い石がいっぱい詰まっているんですね。

この子は尿管結石があって腎臓の中にも石がありましたので、腎臓と尿管、両方の石を取りました。


水野:手術後のレントゲンがこれです。
尿管結石がなくなっていて、問題になっていた腎臓の中の石も取りました。
他にも石が残っているんですが、これは今問題になっていないので、取り出してはいないという状況です。


水野:この子は尿管の石も取っているので、手術後はサブシステムの方にもおしっこが流れるし、尿管の方にもおしっこが流れます。
腎臓から2ルートできるわけですね。


水野:尿管結石は体質が大きく関わっているかなと思っておりますので、どうしても尿管結石が1回できた子は何回もできちゃうことがあるんですよ。

サブシステムの方にもおしっこが流れる状況を作っておければ、命が繋がる可能性があると思っています。
場合によっては尿管の石も取ったり、サブシステムと石の両方を手術することもあります。


水野:実際に手術をした直後です。麻酔から冷めた直後ですが、かなり元気になっていますよね。
お水も飲んでいますし。

スタッフ:手術前は、自分で立ち上がることも難しいぐらいのぐったりした状態だったんですよね。

水野:そうですね。割とぐったりしていましたね。
全然動かない状態でした。

スタッフ:ご飯も食べていますね。

水野:そうですね。もうご飯も自分で食べられるようになっています。


水野:どれぐらい腎臓がダメージを受けているかによって、手術後の回復のスピードは変わってきます。
早い子だと、本当に手術の直後から1日経ったぐらいから、これくらい元気になったりしますので、なるべく早く見つけてあげて手術できるといいのかなと思います。


水野:尿管結石の成分ですが、溶ける石もあるし溶けない石も存在しています。
実際に尿管結石の手術をさせていただくと、ほぼほぼ確実に溶けない石です。

ご飯を変えると溶けるとか、薬で溶かすという治療が実際にはありますが、何をしても溶けないという石が尿管に詰まっているので、手術で取り除きます。
もしくはサブシステムで別のルートを作ってあげる必要があります。

今回の総括


水野:猫ちゃんの尿管結石の話をしました。猫ちゃんに限らずワンちゃんにもある病気です。
非常に緊急に対応が必要な病気です。何かぐったりしているなということがもしあれば、早めに見つけましょう。

手術ができる病院はかなり限られていると思いますので、あらかじめ尿管の手術ができる病院を探しておくのもいいのかなと思います。