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2023.11.20

【命の危機】ハムスターのパンパンに腫れた腫瘍を緊急手術! Vol.73


獣医師・水野:こんにちは!
WOLVES HAND 調布動物医療センターの獣医師、水野です。
よろしくお願いします。

スタッフ:よろしくお願いします。
先生、本日のテーマはなんでしょうか?

水野:今日はハムスターの腫瘍についてですね。
この子が腫瘍があるハムスターです。

胸のところに腫瘍がありまして、かなり歩くのに邪魔になっています。
大きく成長した腫瘍ですね。

スタッフ:これくらい大きくなるのには、
どれくらいの時間がかかりますか?

水野:この子はおそらくそんなに時間はかかっていなくて、1ヶ月くらいかなと思います。
他の病院さんで診ていて、結局治療が難しいということで転院されてきました。


水野:これが麻酔がかかっている状態です。
毛を刈っている状態で、非常に腫瘍が見やすくなっています。
ここから手術を開始していきます。

かなり大きい腫瘍で皮膚がパツパツに張っているので、
その皮膚をまず切開して摘出していきます。


水野:悪性腫瘍かと思いますが、かなり血管が豊富に入っているので、
出血のリスクがある手術かなと思います。


水野:ハムスターは小さい動物ですので、少し出血しただけで死んでしまいます。
手術中は一滴も血を出さないという風にして、手術を進めていきます。

スタッフ:あれくらい大きな腫瘍だったら、手術で取り除いてあげるのが1番の治療法ですか?

水野:この子も年齢が2才を超えていて、もう生活に支障が出ていますし、
摘出をするしかないかなという状況です。
この腫瘍をそのまま放っておくと、1ヶ月持つか持たないで亡くなってしまう可能性が高いので、手術になりました。


スタッフ:かなり大きい腫瘍だと思いますが、場所によって手術の難しさは違いますか?

水野:ハムスターは経験的には首周りに腫瘍ができることが多いと思っています。
首周りは大事な組織がたくさんありますので、リスクとしてはちょっと高めの手術になるかと思います。

特に、この子は頸動脈にくっついていましたので、
そこから剥がして摘出をするというのがかなり危ない手術であったのかなあとは思いますが、
無事に終わりました。


スタッフ:血管を傷つけてしまうと、出血が止まらなかったりするんですよね?

水野:大型の動物であれば出血をしたら手術器具で止血をするとか、血管を縫い合わせた後に血管の遮断を解除する方法が取れます。

ハムスターの場合は出血をすると、おそらく数秒後には心臓が止まりかけているという状態になりますので、
出血をさせないというのが非常に大事になりますね。


スタッフ:かなり細い糸ですね。

水野:ハムスターの手術の時にはよく使いますが、髪の毛よりちょっと細いくらいだと思います。
小さい動物ですから、あまり太い糸は使いにくいので細い糸を使いますね。

頸動脈から剥がして結んで、腫瘍への血管を遮断して摘出をしていきます。