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2022.03.18

【閲覧注意】うちの犬が串を誤食しました…【命の危険】 Vol.25

犬が串を誤食しました……。
処置方法と予後について獣医師が解説します!
愛犬のために知識をつけましょう!

獣医師・山下:犬は丸飲みする動物なので、お肉が食道につまってしまいます。

山下:「えづく」って分かります?

安藤:けぽけぽ?

山下:あ、そう……?

安藤:おえおえ?

山下:おえおえ(笑)

安藤:(笑)

山下:そう。おえおえ、するんですよ。2、3歩歩いて、おえ……を繰り返すというのが、えづきです。実際に嘔吐をする犬もいます。今回の子は嘔吐はないけれども、気持ち悪そうにしている。

安藤:うーん。

山下:一番有効な検査は、何だと思いますか?

安藤:レントゲン。

山下:正解! レントゲン検査しました。

安藤:はい。

山下:実際に撮ってみたら、食道や胃には何も見当たりませんでした。

山下:これがバリウムを飲んだ直後のレントゲン写真です。ここが食道で、隣に黒く抜けているのが気管です。

山下:気管に並走する形で食道が続いています。バリウムを飲んでくれた直後でも、液体はスッと入りました。食道の先が胃なんですが、胃の中までバリウムが流れていきます。

山下:そしたら、何かちょっとここが怪しいと。何かあるな、というのがありました。

安藤:はい。

山下:ただ、食べ物も多く詰まっていたんですよ。

山下:ですので、どんなにバリウムの量を多くしても、胃の中に食べ物がある場合、全部の場所にバリウムが入り込むという事は到底できないんですね。バリウム検査も、ご飯をこれだけ食べていると厳しいなと。

山下:そこで、喉の怪しい部分を見ながら、ここから15分ワンちゃんには待ってもらって、もう1回レントゲン写真を撮影しました。

山下:その映像がこちらです。じゃん。同じ場所に、違和感のある映像が残っていました。

安藤:はい。

山下:ですので、もしかしたら食道の中にモノがあるかもしれない。飼い主さんも、もう食道の中に異物があるかもしれないのであれば、取ってくださいと。

安藤:おお。

山下:異物を取る手術は、さあ何?

安藤:あの、挟む……。

山下:挟む?

安藤:あれですよね。

安藤:忘れました!

山下:そう! 内視鏡手術!

安藤:(笑)

山下:それです。緊急で内視鏡手術をしましょう、となりました。

山下:絶食状態で麻酔をかけて内視鏡手術をする、というのが普通の流れです。しかし、もしかしたらこれが喉で取れるかもしれない、ということで、内視鏡手術をしました。

安藤:はい。

山下:いつものというか、例のチカチカするやつです。光っているところは先端部分です。もちろん麻酔はかかっています。

安藤:はい。

山下:カメラをどんどん進めていきます。

安藤:あ、これですね。

山下:そう。食道の方に入り込んでもらいます。でも、食道を見たものの、何もありませんでした。そこで、そのまま胃の中に進みました。

安藤:はい。

山下:そうしたら、案の定……。

安藤:食べ物!

山下:そう。こんな中から、何を食べたか分からない、というものを探し出すのは不可能だと思っていたんですね。そうしたらね、はい、今ストップ。

山下:これ。

安藤:ジャイアントコーンみたいな。

山下:ジャイアントコーンみたいな(笑)

安藤:おー。

山下:でも、さっき見た串というか、木の棒みたいな。これはあってはいけないものですから。こんな木の棒が腸を流れたら、貫通して腸穿孔を起こしてしまって。

安藤:うわー。

山下:その結果腹膜炎という、命に係わる状況になってしまう。ですので、これを取りました。

山下:とりあえずこれ、分かる? 取り出しているところです。

安藤:大きい!

山下:出ましたー。結構細長い。

安藤:ワンちゃんからすると大きいですね。

山下:はい。串カツを食べていたという。そういう状況だったので、ひとまず串を除去して、ワンちゃんは目を覚ましました。ワンちゃんたちは丸飲みするんですよ。

安藤:噛まないんですね。

山下:お肉も丸飲みしたりすると、さっき見せた食道でお肉が詰まってしまって、それ以上ご飯が入らないということもあります。そうすると、食べては吐き食べては吐き、をするとか。えづき・嘔吐を繰り返すことがあります。丸飲みする動物なので、そのあたりはちょっと怖いですね。こういう症例があったので、お見せしました。

安藤:はい。ありがとうございます。

山下:これが除去したものです。

安藤:とても尖っていますね。

山下:尖っています。これが流れていたら危なかったですね。

山下:その後、予後としては、何を食べているか分からないけど自然排出させたい。そこで、食物繊維の多いご飯、缶詰でもドライフードでも良いのですが、そういうものを出して。便の量を増やしてですね。

安藤:どーん!

山下:どーん! というのを、今治療として行っています。

安藤:なるほど。ありがとうございます。

今回の総括

安藤:それでは、本日のまとめをお願いいたします。

山下:はい。ワンちゃんなどは特に丸飲みをしてしまいます。吐く、えづく、そういう症状があったら、ワンちゃんたちのバリウム検査もできますので、待たずに必ず病院に来てください。

安藤:ありがとうございます!

山下:ありがとうございます!

安藤:それでは、次回の記事でお会いしましょう! さよなら!

山下:さよなら!