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2022.02.02
【犬のできもの】麻酔を使わなくて済む治療「凍結療法」とは? Vol.19
犬にできものができたらどうしたらいいの?
放置していいのか?
そんなお悩みを獣医師が徹底解説します!
メインMC・安藤:できものはどこにありますか?
獣医師・村井:鼻の先にありますね。
安藤:ちょっと毛で見づらいですかね。
村井:鼻の先に小さいイボがあります。この子の場合はオーナー様が「美容的な観点から気になる」ということで、取ってほしいということでした。大きさがめちゃくちゃ小さい(5mmくらい)ですね。
安藤:ちっちゃい。
村井:ワンちゃんのイボを取るとなったら、手術をして取るというのが一般的になります。しかし、イボが良性で小さければ、麻酔を使わずに取る方法もいくつかあります。
村井:最初にプシュッと白いものをかけていましたが、「凍結療法」という治療法なんですね。これは何をしているかというと、局部にドライアイスのようなものを吹き付けているんです。超低温にして、イボの細胞を壊死させて落とす、ということをしています。非常に安全性が高くて、麻酔も使わないで良い方法です。
安藤:あまり跡は残らないんですか?
村井:あまり跡は残らないですね! 綺麗に治ることが多いですね。
安藤:へえー。
村井:前回治療した頭頂部です。
安藤:あ、全然跡がないですね!
村井:そう。これが前にやったところで、すごく綺麗に治ります。
村井:5mmくらいのイボであれば、週1回くらいの通院で、2、3回くらい。1ヶ月ほどやったら落ちるかなというところです。1cmを超えていたら、1ヶ月以上かかってしまうと思いますね。
安藤:家に帰ってから塗り薬だったりとかは必要ありますか?
村井:そんなのも必要ないですよ。
安藤:全くないんだ。
村井:これをして、お薬とかは別に必要ないです、という感じです。
安藤:じゃあまた来週、と。
村井:そうですね、また来週。
村井:凍結療法が、どんな大きなイボにも対応できるわけではないです。小さなもので、しかも本人がある程度協力的であれば、麻酔を使わないでできる非常に画期的な治療法です。歳をとって出てくるイボというのもあります。高齢犬だから手術もしたくない、麻酔もかけたくない。でも、イボを取ってあげたい。そういう子に対しては、非常に有効になってきます。
安藤:イボの色ってありますか? 治療終了のサインで、黒になったらもう終わりだよ、とか。
村井:基本的には終わりのタイミングは、健康的な皮膚の色が出てきたら終わり。ピンク色になっていると、それは皮膚炎になっている可能性があります。別の問題が起きている可能性がありますね。
安藤:どういうイボだったら、治療対象になりますか?
村井:大きさが大きすぎないということですね。大きさ1cmをちょっと超えるくらいが限界かなと思います。
村井:あとは、絶対にダメなのが、癌。
安藤:癌。
村井:そう。皮膚癌。皮膚の癌だったら、それは凍結療法で対応していい範囲ではありません。凍結療法をする前に皮膚組織を取る検査なりをして、それが皮膚の癌ではないのか、良性であるかということを確認をしてからやらないといけないですね。
村井:あとは場所的に、目の近くなどは危険なので凍結療法は出来ないですよね。
安藤:ワンちゃん自身がイボを気にし始めますよね? おそらく。
村井:それはマチマチですね。気にしない子もけっこういます。イボがあるということは、出っ張っているということなので、そこに何かひっかかることがあるんですよね。
安藤:爪とか。
村井:そう、爪とか、散歩に行っている時の木の枝とか。
安藤:うん。
村井:それが1回引っかかってしまうと、そこがかゆくなっちゃうことがあります。1回気にして嚙み始めてしまうと、収まるのに時間がかなりかかりますね。そういうときは凍結療法とか、もしくは大きかったら場合によっては手術をして、取ったりとかしてあげるのがいいですね。
村井:まれに、凍結療法をした数日後に赤くなる時があります。
安藤:炎症?
村井:炎症ですね。この炎症は一時的なので、1週間程度で普通の色に戻っています。4日は続くと思います。
安藤:でも、炎症が2、3日ずっと続いているな、と思ったら、1回連れていったほうがいいですか?
村井:1週間続くようであれば病院に連れてこないといけないですね。
安藤:1日2日で「ああ、治っていない、やばいやばい」というよりは、ちょっと経過を見たほうがいいということですよね。
村井:そうです。
今回の総括
安藤:先生、ありがとうございました!
村井:はい、ありがとうございました!
安藤:では先生、今日のまとめをお願いいたします!
村井:歳をとってできてしまうイボとか、本人が気にして例えば血が出てしまっているものとか。良性のイボ・できものであれば、麻酔をかけずに治療が可能です。全身麻酔をかけずにできる手段として、今回凍結療法を紹介しましたけれども、ほかにもできることはあります。そのため、かかりつけの病院さんなりに相談して頂ければと思います。この子には麻酔はかけられないと言って諦めるのではなく、一度相談していただければなと思います。
安藤:ありがとうございます!
村井:はい。
安藤:では、次の記事でお会いしましょう! さよなら!
村井:さよなら!