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2023.07.25
【死の危険】ハムスターの巨大腫瘍を摘出した結果… vol.69
獣医師・水野:そうですね。
これは手術で足を切っている状態です。
足を切るためには、足を覆っている筋肉と関節の靭帯を外して、
最終的に足を取る手術になります。
水野:「サーモカッター」といって、
止血をしたり組織の切断をする器具です。
手術では主に電気メスを使うことが多いですが、
こういった小さい動物に電気メスを使うと、
電気の流れる範囲が広くなりすぎて感電する可能性があります。
なので、電気メスではなくて局所的に熱を加えられるサーモカッターを
ハムスターの手術ではよく使います。
スタッフ:こういう器具がなかった昔の時代は、全部結んでいたんですか?
水野:そうですね。糸で結んでハサミで切るという手術をしていたんでしょうね。
おそらくそうすると、手術の時間もかかりますし出血の量も増えますので、
リスクの量は上がってくると思います。
スタッフ:先ほどのハンディタイプのものは、ハムスター用に開発されたものですか?
水野:これは眼科用の器具だと思います。
止血用の器具だと思います。
スタッフ:足の切断に関しては、手術時間はどれくらいかかりますか?
水野:この手術でおそらく10分弱くらいだと思います。
あまり時間をかけると麻酔に耐えられないので、なるべく短時間で手術をするようにしています。
スタッフ:慣れている先生だからそれくらいの時間なんだと思いますが、
足の状態によっては長く時間がかかる病院もありますよね。
水野:そうですね。
短時間でやるのは難しい手術だと思います。
水野:無事に足が切断できて、麻酔から覚めてきているところです。
これが手術直後の状態です。
スタッフ:ちょっとふらっとしているけど、元気そうですね。
水野:そうですね。
きちんと麻酔から覚めてくれました。
まだ麻酔から覚め切っていないからフラフラしていますが、
麻酔からは覚めてくれましたね。
スタッフ:手術が成功しても、麻酔から覚めないのは辛いですね。
水野:そうですね。
麻酔からは通常覚めてきますが、小さい動物であればあるほどそのリスクは高まります。
スタッフ:本当ですね!
水野:食欲もしっかりある状態で、きちんと動けています。
スタッフ:飼い主さんも喜んでいらっしゃったんじゃないですか?
水野:そうですね。
(手術を)断られて断られてで来院されたので、ダメ元という感じがありましたが、
無事に手術が終わったことと元気になったことで満足されていました。
スタッフ:手術前は腫瘍が大きくなっている段階で、食欲も減ってきますか?
水野:腫瘍が大きくなってくると、食欲や元気が減ってくる傾向があります。
スタッフ:先ほど切断した足の腫瘍は、ワンちゃんや猫ちゃんと一緒で、
どんな癌だったのかを検査センターに出すんですか?
水野:検査に出しまして、悪性の腫瘍という結果でした。
水野:この子は手術の時に腫瘍以外に鼠径リンパを取っていますが、
リンパ節の郭清という手術も行っていました。
転移もあっという結果でした。
ただ、それ以降に再発するとかどこかに転移することは今のところはないので、
それで取り切れていたんじゃないかなと思っています。
スタッフ:悪性の癌だったということは、手術をしなかったら命は短かったですよね?
水野:そうですね。
おそらく、リンパ節まで転移しているのでそんなに長くはなかったのかなと思います。
スタッフ:すっかり元気ですね。
水野:元気になりましたね。
これで当院での治療は終了ということになりまして、腫瘍は完治と言っていいのかなと思います。
水野:今回のハムスターの症例ですが、対応している病院はかなり少ないかと感じます。
WOLVES HANDの病院では対応している病院がありますので、
こういう症例で困ったなら来ていただければと思います。
今回の症例に関しては、東京都の調布動物医療センターで手術をさせていただきました。
スタッフ:水野先生、今日はありがとうございました。
水野:ありがとうございました。