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2023.03.08
【命を救え】フェレットの腫瘍を摘出した結果… Vol.63
フェレットのお腹がパンパンに膨れてしまいました…
大切な命を救うために
腫瘍を摘出します!
水野:WOLVES Hand獣医師の水野です。
今日は前回に引き続き、フェレットの脾臓腫瘍の摘出手術編です。
前回の手術前から振り返っていきます。
水野:これが麻酔がかかっている状態です。
手術をするためにお腹の毛を刈ってあります。
お腹の表面に見えている腫瘍を手術になります。
水野:まずお腹を開きます。
この子の場合はかなり脾臓が大きいので、結構開けなければいけないです。
脾臓がお腹の中の臓器を圧迫している状態なので、お腹の中に腹水が溜まっています。
これを取りながら脾臓を取り出していきます。
前回もお話ししましたが、脾臓は血液を作る機能と免疫の機能が元々あります。
そのため、かなり血流が豊富な臓器で血管がものすごくたくさん入り込んでいます。
この血管を全て止血して最終的に脾臓を摘出します。
スタッフ:今使っている水色のハサミは煙が出ているように見えますが、どういったハサミなんですか?
水野:これは挟んだ状態でスイッチを押すと、熱が表面から出て血管を止血(シーリング)できるという器械です。
スタッフ:これによって出血しなくなるんですか?
水野:大昔はこういう道具はなくて、血管一本一本を結んで止血していました。
今はこういう器械がありますので、かなり早く手術ができます。
水野:今血管が見えていますが、これは脾臓の裏側に血管がたくさん走っている様子です。
これを一本一本シーリングしていきます。
水野:脾臓を摘出するまでが10分くらいです。
お腹を開いてから閉じるまでだと、全部で20分くらいだと思います。
スタッフ:その間はずっと麻酔が効いているんですか?
水野:全身麻酔で痛みと意識を無くしている状態です。
水野:血管を一本ずつシーリングしていって、これが脾臓が取れた状態です。
スタッフ:取り除いたものは全て脾臓だったのでしょうか?
水野:今取り除いたものが脾臓です。
本来はもっと小さいですが、この子の場合はかなり大きくなっていました。
スタッフ:この取り除いた脾臓は、たとえば治療をしてからまたお腹に戻すことはしないんですか?
水野:この脾臓は既に全て腫瘍になっていると考えられますので、基本的には取り除きます。
脾臓の機能は、骨髄やリンパ節などが代わりに働きますので、基本的には取り除く手術になります。
スタッフ:あれだけ大きい脾臓だと、それが全部なくなってしまうとお腹がぺちゃんこになってしまいそうでそうね。
水野:実際にこの子のお腹はぺちゃんこになりました。
800gほど体重があったのですが、脾臓が150gありましたので、かなりお腹がぺちゃんこになりました。
水野:ただ、摘出したおかげで胃や腸がちゃんと広がれるようになりましたので、翌日からご飯を食べられるようになりました。
スタッフ:元々こんな色なんでしょうか?
水野;元々はもっと赤い色です。
これは摘出して血流がないので黒っぽくなっていますが、もう少し赤いピンク色です。
スタッフ:この取り除いた脾臓は、この後どうするんですか?
水野:なぜ大きくなっていたのか、フェレットがなぜ体調が悪かったのか調べるために、病理検査に出します。
この子の場合は、血液系の癌リンパ腫が見つかりました。
水野:これが手術後の意識が少しずつ戻ってきている状態です。
手術後は脱水の予防のため、点滴をしています。
スタッフ:このあとはどれくらいでお家に帰れるんでしょうか?
水野:この子の場合は日帰りです。
大体一泊もしくは日帰りでお返しすることが多いです。
水野:そのあとは傷の管理などで通院してもらいますが、
この子は脾臓を取ったことでご飯を食べられるようになり、元気な状態でお家で過ごしているようです。
スタッフ:先生、ありがとうございました。
水野:ありがとうございました。