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2022.01.05

【においが気になる?】猫がお尻を気にしていたら危険信号!? Vol.12

お尻の臭いが気なる??
猫がお尻を気にしていたら危険信号??
治療法や受診のタイミングについて解説をいたします!

メインMC・安藤:本日は、猫ちゃんがお尻を気にしていると相談が来たので、先生にお話を伺っていきたいと思います。

獣医師・佐藤:お尻のところには、うんちが出る肛門もあります。肛門の4時と8時の方向に「肛門嚢」「肛門腺」という袋があります。

安藤:知らなかったです。

佐藤:何の役目があると思いますか?

安藤:役目ですか。うんちを出す?

佐藤:なるほど。うんちを出すための袋と。新しいですね!

佐藤:そうではなくて、すごくくさい臭いの物が入っている袋なんですよ。うんちを出すときに一緒に出るものです。自分と相手との臭いの認識をするために、この臭いを出すと言われています。

安藤:ええー。

佐藤:要は縄張りですよね。

安藤:はい。

佐藤:なのですごく臭いんですよ。

佐藤:これを見ていただくと、腫れている感じなんです。肛門嚢が腫れてしまっています。

佐藤:これを「肛門嚢炎」、「肛門腺炎」とも言います。だから腫れちゃって真っ赤になってしまっている感じです。

安藤:この指の下にある物ですか?

佐藤:そうです。これが袋になっていて腫れてしまっているんです。

安藤:パンパンですね。

佐藤:パンパンなんです。うんちをするときに、一緒に肛門嚢からくさい匂いを出すという行為があるんですけど、何かしらの原因で出口が詰まってしまうと、こうやって炎症を起こして腫れていきます。

佐藤:腫れていると、実はじきに破裂してしまうんです。

安藤:えー!

佐藤:猫ちゃんが気にして舐めようとしていました。

安藤:おかしいなと思ってですか?

佐藤:そうです。

佐藤:なので「切皮」と言って、針などで皮膚を切って中の膿を出そうとしています。

安藤:おおー、なるほど。

佐藤:結局、最近感染を伴うことが多く膿になってしまうので、こういう風に膿を出していきます。

安藤:膿が出てきていますね。やっぱり痛いですよね?猫ちゃんからしたら。

佐藤:痛いです。痛いし気になりますし。すごく出てくるでしょう。

安藤:パンパンに腫れてますものね。

佐藤:そうなんです。こんなに膿が溜まっちゃっていたので、だからお尻をすごく気になっていたんですよ。

安藤:なるほど。

佐藤:きっかけとしては、例えば消化器症状です。通常ある程度硬さのあるうんちが出てきたときには、筋肉や腺が刺激されて肛門腺が外に出ます。下痢を起こしたりしてうんちが柔らかいと、刺激が弱くなるので肛門腺の出口が腫れて膿が溜まってしまうという状況になるんですね。

安藤:痛そうです。血も一緒に出てきてしまっていますかね?

佐藤:そうなんです。

佐藤:さっき言ったご相談にあったように、猫ちゃんがお尻を気にしたり、気にしているがゆえに匂いを嗅ぎにいって尻尾を追いかけ回したりという行為が出てきます。

安藤:なるほど。

佐藤:そういう行為が出た瞬間、すぐに病院に来てもらいたいです。

佐藤:まずは切皮して中の膿を出します。

安藤:はい、出してあげる。

佐藤:出したあとは中を洗います。切ったところを洗うのもそうですし、肛門腺の出口もきれいにして通過させないといけません。

安藤:そうなんですね。これは水を入れてあげているんですか?

佐藤:そうなんです。「生理食塩水」と言います。水道水ではなくて、要は細菌に対して洗浄液で洗っているという形です。

安藤:なるほど。

佐藤:血が出たりするケースもあるので、どんどんたくさん洗います。

安藤:洗って洗って、細菌を出してきれいきれいにするんですね。

佐藤:そうですね。細菌や膿や、肛門腺を詰まらないように全部出していく感じですね。そして、この洗浄とともにやることがあります。

安藤:はい。

佐藤:もう袋が破れてしまっているので、レーザー治療をします。レーザーを当てながら組織を修復させる機能を促しています。

安藤:おおー!

佐藤:あとはさっき洗っていましたが、洗った後に抗生物質などのクリームを入れます。他にも、飲み薬や注射で抗生物質を使っています。

佐藤:洗浄はできれば毎日やった方が治りも早いです。大体1週間くらいで元に戻ってくるかなという形です。

安藤:洗浄は自分たちでやるんですか?

佐藤:これは、家でやるのは難しいので病院に来てもらうことが多いですね。

安藤:そうですね、まずこの体勢にはならないですもんね。

佐藤:そうそう、なかなか難しいじゃないですか。

安藤:はい。

安藤:素朴に思った疑問なんですが、臭いがすごいするって言われたということは、「臭いがしなくなったな」と思ったら腫れているという考え方になりますか?

佐藤:通常はうんちをした時にしか臭いはしないはずです。つまりうんちをした時に臭いが出るのは正常なことですよね。逆に、今は破れていなかったけれど、袋が破れてしまうと通常でも臭いが外に出てる感じになります。

佐藤:むしろ、うんちがないのに臭いがしているというケースは異常ですよね。臭いがしたときには何かがおかしいなと。でもそういうときには猫は大体お尻を気にしています。

安藤:そうですよね。人間の方が鼻はダメなんでね(笑)

佐藤:そうですよね(笑)

佐藤:なので、「臭いが強いな」と思ったときには病院に連れてきてもらうと。

安藤:はい!

安藤:これは何ですか?

佐藤:これは抗生物質のクリームです。軟膏ですね。

安藤:これは膿を出してあげたところに塗るんですか?

佐藤:中に入れるような感じです。

安藤:中に入れるんですね。処置をまとめるとどうなりますか?

佐藤:まず洗浄して、抗生物質を入れて、レーザー治療などで傷の修復を促して、飲み薬や注射でも体の中に抗生物質を入れます。そういった治療をすることで、1週間くらいで治ります。

安藤:なるほど。1週間ですか?

佐藤:大体1週間くらいです。

佐藤:目安ですね。

今回の総括

安藤:それでは、今日のまとめをお願いいたします。

佐藤:はい!

佐藤:病院に連れてくるタイミングは、猫ちゃんがお尻を気にしている時です。さっき言ったように、「うんちをしていないのに臭いがするな」という状況があれば、すぐに動物病院に連れてきてもらいたいです。この肛門嚢炎、肛門腺破裂などいろいろ言い方はあるんですけど、誰にでも起こるというものですから、起きた時は動物病院で治療してもらう、ということになります。

安藤:はい!ありがとうございます。それでは、次回の記事でお会いしましょう。さよなら!

佐藤:さよなら!