BLOG
ブログ
2023.07.12
迫るタイムリミット…ハムスターの巨大腫瘍を緊急手術!vol.68
足に腫瘍ができてしまったハムスター。
年齢が高く非常に危険な状態でした……
今回はそんなハムスターの手術を解説します!
水野:こんにちは!WOLVES HANDの獣医師の水野です。
今日は、ハムスターの足にできた腫瘍の摘出手術になります。
スタッフ:足に腫瘍ができてしまったんですか?
水野:そうですね。
スタッフ:ハムスターの足にできる腫瘍って、珍しいですか?
水野:珍しくないですね。結構多いかなという気がしますね。
足に関わらず、ハムスターは腫瘍ができやすくて足にもできやすいです。
水野:今回の子は、足に腫瘍が2つ見られました。
足先と、足首と太もものあたりに腫瘍があるという状況です。
水野:他の病院さんを2〜3箇所回って手術ができないと言われて、
調布動物医療センターに来られました。
レントゲンを撮ってみると骨が溶けてしまっていて、
かなり厳しい状況だったので他院では手術をしなかった症例です。
スタッフ:足にボコボコと大きい腫瘍ができてしまった場合は、
歩くことができなくなっていたんですか?
水野:歩くことは一応できていたのですが、おそらく痛みもあったと思うので
状態はあまり良くなかったですね。
スタッフ:腫瘍が大きくなってきて、飼い主さんが気が付いたんでしょうか?
水野:そうですね。急激に腫瘍が大きくなってきて、
これは良くないということで動物病院にかかっていました。
最初はお薬を投薬されて治るかどうかの治療だったようですが、
結局治らず転院していたらしいです。
スタッフ:そのハムスターちゃんは他院も回られたとのことですが、
ハムスターの手術ができる病院は数が少ないんですか?
水野:少ないと思います。
簡単な手術であればやっている病院も、少ないですがあります。
特に今回は足の骨を溶かしてしまっていたので、
かなり大きい手術になりますので、手術をやっている病院は少ないです。
この子は高齢で2歳を超えているので、
それもあって手術をやらない病院が多いのかなと思います。
水野:今回の手術は、足の骨を完全に溶かしてしまっているので、
腫瘍だけを取り除くのではなく、左足を全部切り取る手術になります。
スタッフ:足がなくなるということは、飼い主さんもやはりショックだと思うのですが、
それでも命を繋ぐためには選択しないといけないということでしょうか?
水野:そうですね。この腫瘍があって生き続けることは難しいです。
手術をしなければ数週間持つか持たないか、というところだったと思います。
命を繋ぐためには、仕方がない手術かなと思います。
水野:足を切るということに関してですが、
人間は二足歩行なので足を一本切ると結構不便ですが、ハムスターは四足歩行なので、
特に後ろ足を切るということ自体はあまり生活に影響は出ないんですね。
もちろん、動きやすさは変わってくるんですが、
この子は腫瘍に侵されてしまっていてあまり正常な動きはできなかったので、
むしろ切った方が快適な生活を送れるかなというところになります。
そういう意味では、足を切る手術をするべき状態でした。
スタッフ:ハムスターちゃんの寿命を考えると、2歳で手術をするということは、
やはり高齢での麻酔であったりリスクは高くなってくるのでしょうか?
水野:リスクは高くなります。
人間もそうですが、若い時より歳をとった時の方が腫瘍ができやすくなります。
2歳ごろになると、ハムスターの腫瘍は増えてきます。
人間や犬・猫の麻酔とは違ってかなりサイズが小さいので、
ハムスター用のマスクを付けています。
人間や犬・猫の場合は気管の中にチューブを入れて麻酔の管理をします。
ハムスターの場合はそれが難しいので、
麻酔の管理としてはレベルが下がるものになりますので、麻酔リスクはその分上がってしまいます。
今回は、高齢なので難しい手術になりました。
スタッフ:そういう意味でもやはり、手術に踏み切らない病院が多いということですよね。
水野:そうですね。ハイリスクな症例になりますので手術をせずに、
ちょっと悪い言い方ですが「このまま看取りましょう」という病院が多いのかな、という気がしますね。
この子も2〜3箇所でそういう風に言われても諦めきれずに、当院にたどり着いたようです。
スタッフ:そういう意味では、先生も含めて勇気を持って手術に踏み切る病院は非常に大切ですね。
水野:手術をやっている病院が少ないと思いますので、
その病院が手術をやっているかというのを事前にチェックをしていただけるといいかなと思います。
この子も、腫瘍が進行している状態でそこから手術できる病院を探しているので、
かなり進行しているんですね。
なので、そこからの手術となりますとその分大変になりますし、リスクも上がります。
事前に手術ができる病院を知っておくといいと思いますね。