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2022.08.29

【人にもうつる】知らないと危険な動物のカビについて【デグーの治療】Vol.48

人にもうつる可能性が……。
知らないと危険な動物のカビについて
デグーの治療を解説します!


獣医師・村井:今日は、デグーのカビを紹介します。デグーさんというのは、齧歯類、ネズミの仲間です。最近ペットとして飼われている方が非常に多い動物さんの一つになります。


村井:人でカビに感染することはあります。有名なのは水虫ですね。水虫の仲間が動物の皮膚にも感染して、毛がごそっと抜けてしまう症状が出ます。それがワンちゃん猫ちゃんだけではなくて、デグーさんやウサギさん、モルモットさんなど多くの動物さんに感染してしまいます。

村井:今回のデグーさんのカビは、真菌です。別名、皮膚糸状菌症と言います。

スタッフ:珍しい病気ですか?

村井:そんなに珍しくないです。結構あります。


村井:デグーさんはほとんど野生に近いので、非常に警戒心が強いです。結構、噛んじゃう子も多いです。今頑張って捕まえようとしているデグーさんは、滅多に噛まない子ですけど、それでも注意してタオルで包んで捕まえます。


村井:このように、お尻の部分が脱毛しているんですね。ここの部分にカビがいました。


村井:検査をどうやってやるかというと、毛を一部分取って、カビに反応する培地に植え付けます。培地の色がピンク色になったら、カビが陽性ということになります。


村井:かゆみはそんなに強くありません。あったりなかったりです。人でも、水虫になる方って何回も繰り返してしまいますよね。動物のカビも一緒で、何回も繰り返すことが多いですね。この子も2回目です。

スタッフ:結構、毛はボソボソ抜けていってしまいますか?

村井:ボソボソ抜けていってしまいますね。普通の毛だったら、思いっきり引っ張らないと抜けません。皮膚糸状菌症に感染している毛の場合は、力を入れなくてもごっそり抜けてしまいますね。


村井:検査には時間が必要です。10〜14日間で色を判定します。色がピンク色になって、植え付けたところに白い綿毛状のものが出ていれば、間違いなしです。これはかなり典型的な出方をしましたね。

村井:他にも、皮膚糸状菌症の診断する方法としてはこの培地以外にも、毛を抜いて顕微鏡で見たり、DNAを抽出して検査をしたり。特殊なライトを当てて緑色に光るような検査もありますので、さまざまな方法を組み合わせて診断をさせてもらいます。


村井:皮膚糸状菌症の1番の問題は、人の肌に感染してしまうことです。人の肌に感染した場合は、赤い斑点状にむず痒い症状が出ます。

村井:ペットを飼っていて自分にそういう症状が出た場合は、人の皮膚科に受診をお願いします。


スタッフ:飼育環境も消毒する必要はありますか?

村井:おっしゃる通りです。煮沸消毒や、次亜塩素酸が含まれているような市販の消毒液ですね。もちろん、動物さんにはかからないように注意してください。そういうものを使って、飼育環境を消毒していただく必要があります。


村井:治療はどうするかというと、この子の場合は飲み薬治療でした。飲み薬で、すぐに効果が出ました。


村井:これが2週間後ですね。もうほとんど脱毛もないような状態でしたね。ちょっとだけまだ残っていましたが、最初と比べると一目瞭然ですね。


村井:毛が生え切ってからも、しばらく飲み薬を飲んでもらいます。大体の子が、全治1〜2ヶ月くらいです。それくらいは薬を飲んでいただく必要があります。ワンちゃん猫ちゃんは粒か粉で、デグーさんは水薬でお出ししています。

今回の総括


村井:皮膚糸状菌症の心当たりがある動物さんを飼われている方、何かありましたらすぐ動物病院にご相談ください。よろしくお願いします!