もしも仔猫を保護したら

まずは感染症に気を付けよう

 仔猫は様々な感染症を持っていることがあり、猫同士で感染するものや人にも感染するものもあります。
 特にご自宅でわんちゃんやねこちゃんを飼われている方は、感染症がうつる場合がありますので、ご自宅に入れる際は最初は必ず接触しないように隔離して飼育するようにしましょう。

まずは生年月日を決めよう

 保護した仔猫の予防プログラムや治療計画をたてるにあたって、現在何週齢なのかをなるべく正しく決めることが重要になってきます。

 眼が開くのは生後7~10日齢となります。正確に視覚が得られるようになるのは、30日齢となります。
 耳道が開いてくるのは、10日齢前後になります。しっかりとした聴力を得られるのは、4~6週齢となります。
歩様
 7~14日齢まではほふく運動(よちよち歩き)を行い、14日齢前後から通常の歩行に変わってきます。
 だいたい3週齢ぐらいになると歯が生え始めます。

 日齢によるだいたいの体重の変化になります。生後1ヶ月で約500g、生後2か月で約1kg、生後3か月で約1.5kgとなります。
 オスとメスで体重が異なることが多く、一般的にオスの方が大きくなります。
 メスでは生後6か月で2~2.5kgのことも多く見られます。

オスかメスかを判別しよう

 性別は肛門から尿道口までの距離で判断します。オスのほうがその間に精巣がありますので、少し距離が長くなります。
 この判断は生後1ヶ月以内だとまだ小さいため間違えることもあり、生後2か月ぐらいに再度正確に判別してあげる必要があります。

動物病院へ行こう

 保護したての仔猫は様々な病気を持っている可能性があります。診察を行い、しっかりとした治療と予防を行いましょう。

感染症の確認

猫エイズと猫白血病の検査

 血液検査で猫エイズと猫白血病の検査を行います。ただし、1回の検査だけで判断はできないため、早ければ2カ月後、急ぎでなければ不妊手術の際に2回目の検査を行います。

ノミの駆虫

 ノミはなかなか見つけることができませんので、見つからなくてもノミの駆虫を行います。

真菌

 被毛の脱毛などがあった場合は真菌を疑うことがあります。人や他の動物にもうつるため、疑わしい場合は被毛の検査を行い、真菌と診断された場合は適切な治療を行います。

耳の検査

 耳垢がある場合は検査を行い、ミミヒゼンダニがいないか検査を行います。ミミヒゼンダニがいる場合は駆虫を行います。

便検査

 便が多く取れるようであれば、直接法(直接顕微鏡で虫卵を見つける)と浮遊法(便を飽和食塩水に溶かし、浮遊させることで虫卵を見つけやすくする)を行います。虫卵が見つかった場合はそれに適した駆虫薬を使用します。
 ノミがいた場合は瓜実条虫の感染が疑われますが、この寄生虫は顕微鏡での便検査では見つかりません。そのため、ノミがいた場合は便検査で異常がなくても瓜実条虫の駆虫を行います。

シラミ

 被毛にシラミがついていた場合は全身の毛刈りと駆虫を行います。

疥癬

 皮膚にヒゼンダニが寄生していると、とても痒みがあり、ガサガサしています。顔回りや耳の縁取りがガサガサしている場合は皮膚の検査を行い、顕微鏡でヒゼンダニの寄生が認められた場合は駆虫を行います。

一般状態の確認

 病院で体重や体温を測り、生年月日を決めましょう。また、可能であれば性別の確認を行います。
 身体検査で奇形(水頭症、心臓の病気、横隔膜ヘルニア、口蓋裂、四肢の変形、直腸などの開口部の閉鎖など)がないかどうかを確認し、また、鼻炎や結膜炎、外耳炎、皮膚病などがないかチェックしましょう。

排尿排便指導

 生後3週齢程度までは自力で排泄をしません。そのため、肛門生殖器領域をティッシュなどで柔らかく刺激してあげて、排尿や排便を促してあげる必要があります。ミルクをあげた後などに行いましょう。
 2~3日排泄がうまくできないようでしたら、病院でチェックしましょう。

ペットショップへ行こう

3~4週齢以内の場合

哺乳瓶とミルク

 哺乳瓶とキャットミルクを購入します。この時期はまだ離乳食は与えられないので、ミルクを与えます。
 ミルクを与える量や回数はキャットミルクに書かれていますので、それに従って与えます。

キャットケージ

 ねこちゃんが安心して生活できるキャットケージを購入します。キャットケージは閉じ込める場所ではなく、一番安心して落ち着ける場所にしてあげる必要があります。
 まだしっかり歩くことができないため、行動範囲を制限してあげる必要があります。

ヒーター

 この週齢では自分で体温調整ができないため、温めてあげる必要があります。
 ペットボトルなどを使用して湯たんぽを作成してあげるのもいいですが、時間が経つと冷えてしまうため夜中も定期的に変えてあげないといけません。
 ペット用のヒーターがあると電気で一定の温度に温めてくれるので、とても便利です。
 温かくなりすぎないようにタオルなどをしっかり敷いて使用しましょう。

4週齢以降の場合

キャットケージ

 ねこちゃんが安心して生活できるキャットケージを購入します。キャットケージは閉じ込める場所ではなく、一番安心して落ち着ける場所にしてあげる必要があります。
 基本的にはこのケージの中で食事を取ったり、排泄を行ったりするようにしていきます。

離乳食

 仔猫用の食事をふやかして与えます。粉ミルクを少し混ぜて与えます。
 ねこちゃんは人と違い、毎日同じ食事を取るため質の良い食事を選ぶ必要があります。

グッズの購入

 食事を入れる食器は陶器やステンレス製のものを選びましょう。
 このころから爪切りの練習をスタートする必要がありますので、爪切りを購入しましょう。
 その他ブラッシング用のくしや遊ぶ用のおもちゃ、爪とぎグッズなどを揃えましょう。

トイレ

 トイレは最初は屋根のない一般的なトイレが良いと思われます。様々なトイレがあり、尿がしたに抜けるシステムトイレやスマートフォンで健康チェックのできるトイレなどがあります。
 ケージの大きさなどを踏まえて選びましょう。

キャリーケース

 ねこちゃんを連れて移動する際は必ずキャリーケースに入れて移動するようにします。大きな物音にビックリして脱走してしまうのを防ぐためです。
 できれば上からも出せるタイプの方がねこちゃんの場合は使いやすいかもしれません。
 シンプルなキャリーケースから、下にペットシートを付けられるタイプ、シートベルトにくっつけて車の移動時に揺れにくくなるタイプなどがあります。

仔猫飼育プログラム

保護したら行うこと

生年月日を決める
性別の鑑定
外部寄生虫の駆虫(ノミ、シラミ、ヒゼンダニ、ミミヒゼンダニなど)
内部寄生虫の駆虫(回虫、鉤虫、瓜実条虫、ジアルジア、コクシジウムなど)
感染症の治療(ウイルス性鼻気管炎、真菌など)
ウイルス検査(猫エイズ感染症、猫白血病)
食事の購入(ミルクや哺乳瓶、生後1ヶ月すぎていれば離乳食や食器)
グッズの購入(ケージやトイレ、爪切り、ブラシ、吸水器など)

~7日齢(約100~200g)
「体温調整」「哺乳瓶でミルクを与える」「排尿排便管理」
7~14日齢(約200~300g)
「眼が開く」「耳が開く」、「体温調整」、「哺乳瓶でミルクを与える」、「排尿排便管理」
14~21日齢(約300~400g)
「歯が生え始める」、「体温調整」、「哺乳瓶でミルクを与える」、「排尿排便管理」
21~28日齢(約400~500g)
「哺乳瓶でミルクを与える」
8~35日齢(約500~600g)
「1回目混合ワクチン」「離乳食開始」「社会性の発現」「歯磨き開始」
2カ月齢(約1kg)
「2回目混合ワクチン」「ノミ予防」「性別の最終確認」「歯磨きトレーニング」
3カ月齢(約1.2~1.5kg)
「3回目混合ワクチン」「ノミ・フィラリア予防」、「歯磨きトレーニング」
4カ月齢
「ノミ・フィラリア予防」
5カ月齢
「ノミ・フィラリア予防」
6カ月齢
「不妊手術」「2回目猫エイズ・白血病検査」「血液型検査」、「ノミ・フィラリア予防」