伊江村との島猫中性化の取り組み

 伊江村では、屋外飼育や無計画な繁殖による野良ねこの増加で糞尿被害や人に対する咬傷・引搔き傷などの被害が相次いでいます。
 前年度、伊江村役場の皆さん、地域のボランティアの皆さんと協力しながら計120頭の地域猫・野良猫の不妊去勢手術に参加し、繁殖制御のお手伝いをさせていただきました。とはいえ島内1000頭と言われる地域猫の数を思うと先の長い活動ですが、着実に一歩一歩進んでいかれています。

 テレビやSNSで楽園のように紹介される猫島ですが、実は猫の生活環境としても問題を抱えていることの方が多いのです。去勢・避妊手術もせず外敵もほとんど存在しない島では、猫はどんどん増えていってしまいます。
 増えすぎた猫が近親交配を繰り返すことで、生まれつき身体が不自由な猫が増えてしまったり、弱い猫が縄張り争いに負けて怪我を負えば、そのまま死んでしまうこともあります。
 また、こうした猫の暮らす島では猫島を知った人が安易な考えで猫を捨てにくることもいまだにあるようです。
 観光地としても知られている伊江島は、1000頭もの猫が住む猫島ですが、猫という動物は縄張り意識がとても強く、ペットとして暮らしてきた猫が生きていくには猫島は過酷な場所です。
 縄張り争いに負けた弱い猫は、自分で食べるものをとることもできないので、飢えや怪我を拗らせて死んでしまいます。

 私たちが活動のお手伝いをする中で、多くの猫が大小様々に怪我を負っていることに気づきます。また、腸内の寄生虫や体表にノミやダニが寄生している個体がかなりの数になり、猫の増えすぎた場所ではやはり栄養状態や衛生環境はあまり良くないことが伺えます。

 コロナ禍もあり、どうしても移動が制限されてしまうのですが、状況を見ながらめげずに取り組みは続けていきたいと思います。今後も地域の取り組みに、獣医療を通じてのお手伝いができれば幸いです。